「なんだか髪が薄くなってきたかも…」薄毛の初期サインに気づいたとき、不安からつい自己流のケアに走ってしまう方は少なくありません。しかし、その良かれと思って行っているケアが、実は頭皮や髪にダメージを与え、かえって薄毛を助長してしまっているケースが驚くほど多いのです。まず、最もよく見られる間違いが、過剰なシャンプーです。頭皮の皮脂や汚れが抜け毛の原因だと考え、一日に何度も髪を洗ったり、ゴシゴシと爪を立てて強くこすったりする方がいます。しかし、これは全くの逆効果です。洗浄力の強すぎるシャンプーや過度な洗髪は、頭皮を守るために必要な皮脂まで奪い去ってしまいます。皮脂を失った頭皮は乾燥し、フケやかゆみを引き起こしたり、逆に皮脂を過剰に分泌しようとして毛穴を詰まらせたりと、頭皮環境を悪化させる原因となります。シャンプーは一日一回、指の腹で優しくマッサージするように洗うのが基本です。次に、自己流の頭皮マッサージです。血行促進が髪に良いと聞き、硬いブラシで頭皮を叩いたり、強く揉みすぎたりするケアが散見されます。適度なマッサージは血行を良くする効果が期待できますが、やりすぎは禁物です。強すぎる刺激は頭皮に炎症を起こしたり、毛細血管を傷つけたりする恐れがあります。また、すでに弱っている髪を物理的に引き抜いてしまうことにもなりかねません。マッサージはあくまで心地よいと感じる程度の力加減で行うことが大切です。さらに、特定の食品ばかりを食べる極端な食事療法も危険な落とし穴です。ワカメを食べれば髪が生えるといった俗説を信じ、そればかりを食べるような偏った食生活は、栄養バランスを崩し、かえって髪の健康を損ないます。髪の成長には、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、多様な栄養素が複合的に必要です。一つの食材に頼るのではなく、バランスの取れた食事を心がけることが、遠回りのようで最も確実な道です。薄毛の初期段階では、焦りから間違った情報に飛びつきがちです。まずは「洗いすぎない」「叩きすぎない」「偏りすぎない」という基本を念頭に置き、頭皮と髪をいたわる優しいケアを心がけることが、健やかな髪への第一歩となります。