AGAクリニックを訪れる患者様の中には一刻も早く薄毛を治したいという切実な思いから数週間や一ヶ月で結果が出ることを期待される方も少なくありませんが我々専門医の立場から申し上げれば毛髪再生の期間を大幅に短縮することは現代医学をもってしても非常に困難な課題です。その最大の理由は毛母細胞の分裂速度とヘアサイクルのリセットに必要な物理的な時間にありこれは人間が持つ生物学的な限界点と言い換えることもできます。AGAの治療薬であるフィナステリドなどは脱毛因子をブロックすることで毛根への攻撃を止めますが攻撃が止まった瞬間に毛根が蘇るわけではなく損傷した組織が回復し再び毛髪を製造し始めるまでには一定の休養期間が必要です。さらに新しく生まれた毛髪が皮膚を突き抜けて外に出てくるまでには数週間の時間がかかりそこから目に見える太さになるまでにはさらに数ヶ月の成長期間を要します。これを無理に早めようとして薬の量を規定以上に増やしたとしても副作用のリスクが高まるだけであって発毛のスピードが二倍や三倍になるわけではなくむしろ健康を損なうリスクの方が大きくなってしまいます。また頭皮の血流改善や栄養状態の最適化といった土壌づくりも一朝一夕に完了するものではなく体質改善を含めた長期的なアプローチが必要となります。患者様にお伝えしたいのはAGA治療において時間はコストではなく投資であるという考え方であり適切な期間をかけて丁寧に育てた髪こそが強く太くそして長く定着する質の高い髪になるということです。焦りはストレスを生みそのストレスが血管を収縮させて血流を悪化させるという悪循環を招きかねないためまずは腰を据えて最低でも半年間は自分を信じて治療を継続するという覚悟を持っていただきたいのです。我々医師もその期間を伴走し小さな変化を見逃さずにサポートすることで最短ではなく最善の期間での改善を目指して共に歩んでいく姿勢を大切にしています。