夫がAGA治療を始めてからの数ヶ月間、私たちはまさに一つの大きな試練を共に乗り越えてきたような感覚を持っています。最初は夫の髪が増えることを二人で楽しみにしていたのですが、治療開始から二週間ほど経った頃、夫の様子が明らかに変わりました。朝の洗面所での溜息が増え、部屋の掃除をしても夫の髪の毛がこれまで以上に落ちていることに気づいたのです。夫は、抜けるのが止まらない、これじゃ逆効果じゃないか、と泣きそうな顔で鏡を見つめていました。それが噂の初期脱毛だと知っていても、実際に目の前で髪が減っていく様子を見るのは、家族としても胸が痛むものでした。ある夜、夫がもう治療を止めたいと口にしたとき、私は夫の手を握り、先生が言っていたことを思い出そうよ、と声をかけました。今は髪が新しく生まれ変わるための準備期間で、嵐が過ぎれば必ず新しい芽が出てくる、それは夫が一生懸命薬を飲んで、体が応えている証拠なんだよ、と。私はあえて夫の抜け毛を気にする素振りをせず、毎日を明るく過ごすよう努めました。掃除機をかけるときも、これは健康になるための抜け毛なんだから、と自分に言い聞かせ、夫が鏡を見る時間を減らすために、新しい趣味を見つけて一緒に楽しむ時間を増やしました。夫が帽子を被って出かけるときも、その帽子似合ってるね、と外見を肯定し、夫の自尊心が傷つかないように配慮しました。一ヶ月が過ぎ、二ヶ月が経った頃、夫が洗面所から、見てくれ、止まったかもしれない!と嬉しそうな声を上げました。駆けつけると、確かに抜け毛が減り、地肌のあちこちから、ツンツンとした黒い元気な毛が生え始めているのが見えました。あの瞬間の夫の輝くような笑顔は今でも忘れられません。初期脱毛という暗いトンネルを抜けた先には、以前よりもずっと明るくて前向きな夫がいました。家族にとって大切なのは、髪の毛の数ではなく、本人が自信を持って笑っていることです。でも、その自信を取り戻すためのプロセスとして、初期脱毛はどうしても避けられない関門でした。もし、今隣でパートナーが抜け毛に震えているなら、どうか、それは良くなっている証拠だよ、と何度も伝えてあげてください。家族の何気ない理解と支えが、孤独な治療を闘う人にとって何よりの特効薬になるのです。今ではフサフサになった髪をセットして楽しそうに出かける夫を見て、あの時二人で耐えて本当に良かったと心から思っています。髪を育てることは、家族の絆を育てることでもあったのだと、今ならそう感じることができます。