鏡を見るたびに広がる分け目と、朝起きた時の枕元の抜け毛に怯えながら、私は長い間「いつか自然に治るのではないか」という淡い期待を抱いていました。ネットで検索しては、食生活の改善や頭皮マッサージ、市販の安価な育毛剤など、医学的な根拠に乏しい方法を片っ端から試しては、一向に改善しない現実に絶望する毎日を繰り返していました。当時の私は、AGAが「治らない」という言葉の本当の意味を理解しておらず、何らかの特効薬や習慣によって、十代の頃のようなフサフサな状態に魔法のように戻れると信じ込んでいたのです。しかし、専門のクリニックでカウンセリングを受けた際、医師から「AGAは進行性の疾患であり、放置して良くなることはありません。そして、治療は一生の付き合いになります」とはっきり告げられた時、私の淡い幻想は打ち砕かれました。最初は「一生薬を飲み続けなければならないのか」という重圧に押しつぶされそうになりましたが、医師はこう続けました。「治らないからこそ、早めに管理を始めれば、失わずに済む髪がたくさんあります。メガネをかけるのと同じように考えれば良いのです」と。その言葉を聞いて、私は現実を受け入れる決心をしました。治療を開始して半年、一年と経過するうちに、私の頭上にはかつての自信を支えていた髪が戻ってきました。確かに、今でも毎日の服薬を止めることはできませんし、通院も続いています。しかし、かつてのような「いつか抜けてしまうのではないか」という漠然とした恐怖に支配される日々からは解放されました。治らないという現実は、言い換えれば「正しく付き合えば怖くない」ということだったのです。もし私が、治らないからと諦めてしまったり、逆に自然に治ると信じて迷走し続けたりしていたら、今の自分は存在しません。自分自身の体質を否定するのではなく、それを医療の力で補いながら生きていくという選択は、外見だけでなく私の内面的な強さも養ってくれました。薄毛という現実に直面している皆さんに伝えたいのは、治らないことを嘆くよりも、今ある髪を守るために動き出すことの尊さです。その一歩が、数年後の自分を救う唯一の手段になるのですから。
自然には治らない薄毛の現実に直面した私の選択と決断